2008/09/20
書道の七つ道具~その二(墨場必携)
台風が接近していますね。すでに台風の影響を受けた方も多いでしょね。皆さんは大丈夫ですか?
私事ですが、先日誕生日でした。
もう周りからお祝いしてもらうのも遠慮する年齢なのですが、
有り難い事に私の彼は毎年忘れる事なく、事前に聞いてくれます。
それで今年は築地でお寿司をお腹いっぱい頂いてきました。
いかにも、というケーキや花束やプレゼントよりも、美味しい食事を
ゆったり楽しむ時間や、何もしない時間が一番贅沢だと思うようになりました。
今日は書道の作品に取り組む上で、ある意味一番大切な「ネタ」(テーマ)についてです。
人から依頼される場合は、既にその方に書いてほしい言葉や詩があって、
それを書くことになりますが、自分の作品を手掛ける時は「さて何書こうか?」から始まります。
勿論、普段から作品になりそうな言葉を書き貯めていますが、書いてみると
作品になりにくい場合が結構あります。
そして、いつも苦労するのは、その言葉や詩の意味はすごく好きだけど、
絵(作品)にならない場合です。
この場合は、やはり諦めて別のネタを探すことになります。
それでいつも必要になるのが「墨場必携」というものです。
墨場必携とは揮毫するのにふさわしい言葉を集めたものです。

今、書斎を確認したら墨場必携は5冊ありました。
さらに私は国語辞典、漢和辞典、そして類語辞典も必ず使います。
あと長年に渡って私が書き貯めたネタ帳もありますが、これは企業秘密です。
自分で詩作し、それを書く、というスタイルもあるでしょうが、
私は当分、書く事に徹したいので、テーマは全てこれらから選んだ言葉や詩です。
最近の創作では一字や二字といった少字数を大きく書くスタイルが多いのですが、
字数が少ない分、書く字で構成が決まるのでテーマを選ぶ作業は本当に大切ですし、
実際、相当な時間をかけています。
この時、以前に紹介した書道字典もフル活用し、ノートに鉛筆でなぐり書きしながら
自分の想いとも照らし合わせながら、幾つかの候補を草稿までもっていきます。
幾つかの草稿が出来たら、その中から2種類に絞り込み、その二点を同時進行で
最後まで進めていきます。決められた時間の中で、最初から一つに集中して
書き込んだ方がいいという考えもあるでしょうが、私は師匠のアドバイスで
もうずっと二種類同時進行です。どちらかが行き詰った時、もう一方に取り組めるので
結果として自分を助ける事になるんです。
この一瞬、回り道に見える時間も、必ず自分に返ってくると実感できるようになったのは
最近ですけれど。
師匠の存在が有難いと実感する今日この頃です。
何事においても、王道無し、ひたすら努力ということですね。
すっかり涼しくなり、まさに芸術の秋。
腰を落ち着けて作品に取り組むには絶好の季節ですね。

