2013/01/14
急がば回れ
今日は成人の日ですが、都内は初雪、しかも予想以上にかなり吹雪いています。せっかくの晴れの日を迎えた新成人にとっては良い意味でも悪い意味でも忘れられない一日となったとも言えるのでしょうが、雪に弱い都心、交通機関の乱れ、転倒による怪我も心配されます。私も今日のレッスンは中止にしました。今、私の頭の中の殆どを締めている作品は・・・個展のメインにと考えている大型作品なのですが、予想通り難しく、一歩前進したと思ったらしばらく停滞、を繰り返しています。
六尺の四幅作品ですので、仕上がったらかなり迫力あるものになると思うのですが、イメージを具現化させる作業はやはりしんどいものです。集中力、継続力、技量、情熱と冷静さ、全てが必要となります。でも大型作品はやがて書きたくても書けなくなる時が来るので、後悔無い創作人生を送る為にも、今は少し無理をしてでも自分のために大型作品に取り組もうと思っているのですが。
それでも昨年の後半から少しずつ作業を進め、12月中にはそれなりに「形」にして、年明けからじっくり書きこもうと思い、自分なりに考え、書いていたつもりでした。ところが12月後半に、それなりに形となった草稿を師匠に見て頂いたところ、振り出しに戻るようにと言われました。一回り小さい紙に、連綿(文字の連続)もバラして、構図を再構築する必要があるとの事でした。自分としては、まあまあいいところまで来たと感じていたので、やはりショックでしたが、すぐに「ああ、やっぱり」と納得した面もありました。
精神的な辛さから逃れたい思いがいつも付きまとっていたので、今思い返すとかなり近道というか、一段飛ばし、二段飛ばしぐらいで階段を登っていたんです。恐らく素人の目は誤魔化せたんでしょうが、やはり師匠の目はそれを許してくれなかったという訳です。
この歳になって改めて、創作において割愛していい段階なんて一つも無いと教わりました。たまに一瞬の思いつきから素敵な作品に至る事がありますが、振り返ってみると小品ばかりで、大型作品は綿密な設計図のもと、コツコツと作業を積み重ねて辿り着くものだと改めて知りました。頭の中で分かっていても、実際に書いてみて紙や筆や墨と対話し、共に呼吸し続けていく事が書の道。早く片付けてしまいたい難しい作品こそ、ゆっくり時間をかけて取り組まないと、進むほどにボロが出て崩壊していくのだと思います。まさに、、、「急がば回れ」。
こうなったらこの作品は徹底的にゆっくり丁寧に一つ一つ階段を登って行こうと気持ちを切り替え、年末からゼロの状態で再スタートしました。そもそも最初に選んだ漢詩は最適だったのか、そこから再検討し、他の漢詩も候補に入れ、字典にあたり書体を検討して数種類、草稿を練り直しています。
今になって、あんなに急いで焦って何とか形にしてやろうと驕った気持ちで書いていた自分が恥ずかしくて仕方ないです。それを冷静に教えてくれた師匠にはまた感謝。いつになったら恩返しできる事やら・・・。

それにしても今日の予想以上の大雪は大変でした。少し外出しましたが、みぞれ交じりの雪は歩きにくく、北海道育ちの私は、どうせ雪の中を歩くならパウダースノーを踏みしめたいな、と思ったのでした。明日は二箇所でレッスン、早目に出た方がよさそうですね。


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