2015/02/20
こだわりと素直さ
2月は早い、あっという間に終わってしまいそうです。でも春の訪れも日々、近づいていますね。目下、大きなプロジェクトを進行中の私は、少し時間がゆっくり流れてくれる方がありがたいのですが。書道に限らない事だと思いますが、何かを成し得るには、それに対するこだわりが必要です。でもこだわりすぎて全体を見れなくなってしまう事もあります。こだわりながらも、時々周囲を見渡したり、信頼できる人にアドバイスを求めて、進んでいる道が正しい方向に向いているか、確認したり方向修正する事が大切です。その際には何といっても素直でなければなりません。
ある日のレッスンで、一人の生徒さんが私の目からみたら合格レベルなのに、当の本人は納得がいかないようで、何度も何度も書き直しています。何度書き直しても私の目には、どれもさほど変わっていませんが、本人のこだわりがあって自分の書いた字を許せないのです。こだわりは結構ですが、指導者から合格が出ているのに自分で根拠のない不合格として悩んでいるのです。合格に達したのであれば、次の課題に進んで新しいものを学び、身に付けた方が経験も増し、結果として早く、そして幅広く学習する事が出来ます。
私が書道を学び始めた頃、とにかく私はド素人なので、全てにおいて先生の言葉に従っていました。時にはもっと書き込めば今よりも上手く書けそうなときでも、先生が「ハイ、では次」と仰ったら迷わず次に進みました。何の経験もない私のこだわりよりも、多くの経験と知識を持った先生の意見に従っていれば間違いはない、と自分でもびっくりするぐらい素直なものでした。
また先生も、日頃から生徒に対して、「自分のこだわりがあって、先生から言われたことの中にはやりたくない事もあると思う。でも一度は試すべき」、「長い目で見ると、やっぱり師匠のアドバイスは的を得ているものだ」と仰います。
強いこだわりが生み出す技巧、表現もありますが、時には素直に耳を傾ける柔らかさも必要です。何事においても剛柔のバランスが大切ですね。
うまく書けなくて悩んでいる人、もしかしたら自分のこだわりが邪魔しているかもしれません。行き詰った時には先生や先輩に意見を仰ぎ、自分の意見と異なっても素直に従ってみると道が開ける事もありますよ。私は日頃から生徒さんには「書道は自分に甘く、楽しくやった方が上達します」と言っています。


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