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波磔と楷書の右払いの違い

暖冬と言われていた今冬も、例年並みの冷え込む日が続いています。本来はこれぐらいの寒さなのに、今までが暖かかったので、例年並みの寒さでも厳しく感じます。

今日はズバリ、タイトルの「波磔(はたく)と楷書の右払いの違い」について書いてみます。両方の姿を頭の中で明確にイメージできる方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか?中には「波磔」とは何ぞや???という方もいらっしゃるかもしれませんね。少なくとも日常生活の中では「波磔」という単語を口にすることはありませんよね。

私が所有している書道辞典(二玄社)で「波磔」を調べると、、、「筆法の一つ。波のうねりのような筆勢の用筆。左払いを波といい、右払いを磔というのであるから、本来は左右二つの筆を指すのであろうが、現在では多く八分の横画の終筆の大きくうねって右にはね上げるようにして抜いてある筆を指す。」とありました。かえって頭の中が混乱したかもしれませんね。

文章による解説よりも、実際に両方の姿を目にした方が一目瞭然です。二玄社の「新書源」から「道」をひいてみました。

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いかがでしょうか?こうして両者を並べてみると違いが分かりやすくなりますね。注目すべきは最終画の方向です。楷書はなだらかに下方向、またはそのまま水平を保つ。これに対し、隷書は右上方向に跳ね上げる(跳ね上げない場合もある)のです。

古典を勉強していると、このルールに矛盾しているものもあります。墓誌銘は楷書的隷書が非常に多いですし、北魏時代の楷書にも隷書の名残が見られます。また爨宝子碑に代表される銘石書には一文字中に複数の波磔の用筆があります(隷書の波磔は一文字中に一箇所だけです)。ただ、楷書が確立された唐時代の楷書では楷書の右払いと隷書の波磔のリズムはしっかり区別されています。

たまにこの区別が滅茶苦茶な字をみかける事があります。長い歴史の中で確立されたゆるぎないものはルールとして、数学の公式のように覚えてしまいましょう。創作をする場合に「やっていい事」と、「やってしまうと無知だと誤解される事」の境界線が自ずと明確になるはずです。難しいのですが、いくら自分の自由な創作といえども、何もかも無視してしまうと、単なる勉強不足と言われてしまいます。これはどの芸術の分野でも同様でしょう。

例えば、作品の全体感は「九成宮醴泉銘」のようなイメージで、清々しく沈着した線質なのに、右払いやしんにゅうが右上に跳ね上がっていると、違和感を感じる訳です。全体のイメージに調和した用筆の使い分けはとても大切です。唐時代の楷書をイメージして書いているつもりが、波磔もどきになっていないか、今一度確認しながら学習してみてください。

せっかく貴重な時間とお金を書道に投資しているんですから、少しずつでもいいから本物を身に付けていきたいと年々、強く感じますし、生徒さんにもゆるぎない確かな実力を身に付けてほしいと思っています。一緒に楽しく学びましょう。



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今年も宜しくお願いします

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。今年は暖かいお正月を過ごせ、とても穏やかなスタートとなりました。新年に向け、新しい気持ちでやる気満々です。今年は新しい事を始める年、新しいステップを踏む年として、色々な事に挑戦し、前に進んでいける一年にしたいと思っております。躍動、挑戦、変化、、、そういった言葉をイメージしています。

昨日、4日よりレッスンが始まりました。初稽古もとても気持ち良く終わり、幸先良いスタートとなりました。一年を無駄にしないよう、限られた時間を大切に、ぶれない軸を大切にレッスンを運営していきたいと思っております。創作も、より意欲的に取り組み、私のモットーである「あらゆる空間に調和する書」を掘り下げていきたいと思っています。

このように前向きに捉えられるのも、多くの方に支えて頂いているからこそです。少しずつ恩返ししながら、美しい書の姿を求め、そしてそれを一人でも多くの方に伝えていきたいと思っております。

改めまして本年もどうぞ宜しくお願い申しげます。今年はブログの更新もマメにしていきたいと思っております。

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お歳暮に頂いた桜越しに見る自作「蓮」。桜のお蔭でお正月に相応しい雰囲気になりました。



プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。作品制作においては、国内に限らず海外へも活躍の幅を広げ、多方面で活動中。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。
レッスンの詳細はホームページ
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出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

作品制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

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