2017/07/30
何のために書くのか
ここ数日、とてもジメジメとした日が続き、何をしても体が重く感じます。たまに運動して気持ちの良い汗をかく事が必要ですね。近いうちに泳ぎに行くつもりです。個展も終わり、この暑さだし、この夏は少しゆっくりしたいところですが、晩秋には納品しなければいけない作品の制作にそろそろ取り掛からなければならず、また来年の仕事の話も少しずつ進み、どうもしっかりとした夏休みは無さそうです。でもやる事がある幸せともいえますので、日常の中でほどほどに休みながら楽しく過ごしていきたいと思います。
今回のテーマである「何のために書くのか」は、実は今回の個展のための創作中に、自分と何度も対話していたテーマだったんですが、偶然にも先日、師匠が同じような事を話されたので、もしかしたら誰かの参考になるのかもしれないと思い、ここで書いてみようと思います。
例えば書道を趣味でも仕事でもされている方、「何のために書いているの」と聞かれたらどのように答えますか。答は人によって様々ですし、ひとりの人でも時と場合によって答が変わる場合もあるでしょう。「好きだから」や「もっと上手くなりたいから」が最も多い答でしょうか。私もまずは「好きだから」と迷わず答えます。
でも好きだけでは続かない場合があります。誰にでも順調・不調の波はありますし、他の事に時間も精神も集中させなければならない事情もあります。またやる気はあるものの、作品スタイルがマンネリ化してくると刺激が無くなり、「またか~」という気持ちになる場合もあるでしょう。これは課題を取り組む立場の人に多いでしょうね。
私は個展では毎回全て新作を発表しているので、準備期間中はとにかく書きまくります。作品のアイデアを考える作業も同時進行なので緊張状態が続きます。それでも自分の作品を見てほしい、少しでも良い作品にしていきたい気持ちでこれまで何とか乗り切れています。
でも、やはり大変な作業です。渦中にいる時は「こんな生活は期間限定だから出来る」と感じるものです。そしてたまにふと「何のために書くのか」と自問自答します。好きだから、良い作品に仕上げたいから、沢山の人に見てもらいたいから、、、勿論、全て正しい回答なのですがここ数年、これらの回答にもう一つ、今までとは違う答えが動機となり作り上げる作品があるのです。
それは「誰かのために書きたい」から、です。
今回の個展の作品でいえば、昨夏に亡くなった従兄のために書いた作品があります。従兄の死の翌月、とにかく従兄を想い、作品の出来の良し悪しは後回しで、その時の自分の心情を全て作品に込めたいという思いだけで書き上げました。冷静になって見返すと、荒れている部分もあり、全体の調和が取れていないと思うところもありますが、それが制作時の心情そのものであり、他人から何と言われても、「これはこれでいいんだ」と思える作品となっています。
「誰かのために」といっても、オーダーをして下さった方のために書くという意味とは大きく異なる状態だとご理解いただけるでしょうか。誰かに頼まれたのではなく、あくまでも自分の気持ちに素直に書き、またその事を自らペラペラと語らず。
今回の私の場合は亡くなった従兄でしたが、友人だったり、家族だったり、恋人だったり、、きっときっかけは日常にあるものでしょう。また「別れ」に限らず、日頃の感謝や友情、憧れや慕う気持ち、思い出、、、何でもいいのだと思います。
創作で行き詰った時、リラックスしてその時に浮かんだ誰かを想って構想を練ると、新しいキーワードと出会え、もしかしたら普段とは違った心境で取り組め、自分にとって大切な作品になるかもしれませんね。「卒意の書」とまではいかなくても、堅苦しさや緊張感から解放された何かを表現できるかもしれません。
ただ、あまりにも感情の赴くままに書いていると、大切な根幹が抜けてしまう恐れがあります。自分の感情とほどほどの距離感を保ちつつ、冷静でありながらも、熱く書き続けることが大切です。
ちょっと話は逸れますが、書いている今、「感情の赴くままに」で頭に浮かんだのは顔真卿の「際姪文稿」。これは何度も臨書すべきものです。まさに感情むき出しで、内容も内容なだけに臨書しながらも胸が詰まりそうになりますが、行書の手本としてもとても素晴らしいものです。創作のヒントの宝庫ですよ。
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