2019/02/13
落款について
先週は天気(特に気温)の変化が大きく、厳しい寒さや雪も降りました。でも春節を迎え、そろそろ春の兆しも感じられるはず。風邪が長引いている方もいますので食事に睡眠、保湿など気を付けて無理せずに過ごしたいです。今回は「落款」について。
落款は作品の一部です。作品のオマケではありません。
落款は本当に難しいと年々感じています。同時に落款はとても大切で、作品の存在感を一回り大きく見せる絶妙なスパイス効果もあると感じています。
日頃、落款について考えたり、練習などしていますか。現在、特に日本では「名前(号)+雅印」で落款としている場合が多いですね。しかし古典を勉強していると、先人達は名前だけではなく、「いつ」「どこで」「何を」「何故」等を添えて、場合によっては数行に亘った落款を書いていた事をみとめる事ができます。

王鐸「臨汝帖」

呉昌碩「石鼓文・第四鼓」
現在、私は王鐸を勉強しています。大胆な墨継ぎや連綿、様々な変化(線の太細、字の大小、墨の潤滑など)を学び、少しでも自分の作品に生かしたいと思っています。以前から王鐸は好きなので、楽しく学習して数か月経っているところですが、当初思っていなかった大きな収穫があります。それが落款への意識です。王鐸は必ずといっていいほど、落款を沢山書き込んでいます。
以前は臨書する時には落款はあまり大切に捉えていませんでした。しかし今回の私の学習では、最初は無意識でしたが作品の最初から最後まで学び取りたいと思い、細かく書き込まれた落款まで追い臨書を繰り返すうちに、一種の楽しさを感じるようになりました。そして今では、特に長条幅作品では長い落款が作品のエピローグとして、作品をより印象づけるものになるものだと感じています。
でも全ての作品に長々と落款を入れるべきでもないと思っています。作品のスタイルによって、落款をどのようなスタイルにするか、、、これも作者の意図になります。落款は単なる署名ではありません。自分はこの作品の何を感じて欲しいか、何を伝えたいかにより落款のスタイルは変えるべきと思っています。
空間(白)の美しさを大切にしたいなら、主役の邪魔にならないよう雅印のみの場合もあっていいはずです。雅印のみの場合は印の位置や大きさは勿論のこと、白文にするか朱文にするか、印泥の色等も十分に検討しなければなりません。
また書き上げた段階にならないと決められない場合もあるでしょう。同じ作品でも複数枚書けばそれぞれ違った仕上がりとなり、落款部分にあたる余白の出来方もそれぞれ違う事は多々あります。この仕上がりだからこの落款にするという臨機応変な対応も必要になります。
こうなると日頃から落款への意識を高めるしかありません。よく見かける(耳にする)話ですが、本文ばかり練習して、最後に一番良く書けたその一枚に名前を入れて終了にするスタイル、これでは落款への意識が生まれるハズがありません。恐らく名前を書き入れる段階で既に集中力もなくなり、本文との調和の意識など毛頭ないでしょう。私のレッスンでは名前まで毎回書くことを指導しています。毎回、名前を書く事で私は名前に対しても添削でき、字形、書体、大きさ、場所等チェックできますし、何より毎回書いていくことで、自ずと上手くなっていきます。本文は上手くいったのに名前で失敗したという話、以外と良く聞きますよね。でも、私はせっかく習っていて自分の名前で失敗するのは余りにも情けないと思っているんです。
最後にもう一回、落款は作品の一部です。作品のオマケではありません。まずは場数を増やす事。そして意識する事からはじまると思います。私も勉強の途中で、まだまだ学ばなければならない事が沢山です。焦る事はありません、ゆっくり出来る事から始めましょう。私も頑張ります。
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