fc2ブログ

落款について

先週は天気(特に気温)の変化が大きく、厳しい寒さや雪も降りました。でも春節を迎え、そろそろ春の兆しも感じられるはず。風邪が長引いている方もいますので食事に睡眠、保湿など気を付けて無理せずに過ごしたいです。

今回は「落款」について。
落款は作品の一部です。作品のオマケではありません。

落款は本当に難しいと年々感じています。同時に落款はとても大切で、作品の存在感を一回り大きく見せる絶妙なスパイス効果もあると感じています。

日頃、落款について考えたり、練習などしていますか。現在、特に日本では「名前(号)+雅印」で落款としている場合が多いですね。しかし古典を勉強していると、先人達は名前だけではなく、「いつ」「どこで」「何を」「何故」等を添えて、場合によっては数行に亘った落款を書いていた事をみとめる事ができます。

outaku.jpg
王鐸「臨汝帖」

goshoseki.jpg
呉昌碩「石鼓文・第四鼓」

現在、私は王鐸を勉強しています。大胆な墨継ぎや連綿、様々な変化(線の太細、字の大小、墨の潤滑など)を学び、少しでも自分の作品に生かしたいと思っています。以前から王鐸は好きなので、楽しく学習して数か月経っているところですが、当初思っていなかった大きな収穫があります。それが落款への意識です。王鐸は必ずといっていいほど、落款を沢山書き込んでいます。

以前は臨書する時には落款はあまり大切に捉えていませんでした。しかし今回の私の学習では、最初は無意識でしたが作品の最初から最後まで学び取りたいと思い、細かく書き込まれた落款まで追い臨書を繰り返すうちに、一種の楽しさを感じるようになりました。そして今では、特に長条幅作品では長い落款が作品のエピローグとして、作品をより印象づけるものになるものだと感じています。

でも全ての作品に長々と落款を入れるべきでもないと思っています。作品のスタイルによって、落款をどのようなスタイルにするか、、、これも作者の意図になります。落款は単なる署名ではありません。自分はこの作品の何を感じて欲しいか、何を伝えたいかにより落款のスタイルは変えるべきと思っています。

空間(白)の美しさを大切にしたいなら、主役の邪魔にならないよう雅印のみの場合もあっていいはずです。雅印のみの場合は印の位置や大きさは勿論のこと、白文にするか朱文にするか、印泥の色等も十分に検討しなければなりません。

また書き上げた段階にならないと決められない場合もあるでしょう。同じ作品でも複数枚書けばそれぞれ違った仕上がりとなり、落款部分にあたる余白の出来方もそれぞれ違う事は多々あります。この仕上がりだからこの落款にするという臨機応変な対応も必要になります。

こうなると日頃から落款への意識を高めるしかありません。よく見かける(耳にする)話ですが、本文ばかり練習して、最後に一番良く書けたその一枚に名前を入れて終了にするスタイル、これでは落款への意識が生まれるハズがありません。恐らく名前を書き入れる段階で既に集中力もなくなり、本文との調和の意識など毛頭ないでしょう。私のレッスンでは名前まで毎回書くことを指導しています。毎回、名前を書く事で私は名前に対しても添削でき、字形、書体、大きさ、場所等チェックできますし、何より毎回書いていくことで、自ずと上手くなっていきます。本文は上手くいったのに名前で失敗したという話、以外と良く聞きますよね。でも、私はせっかく習っていて自分の名前で失敗するのは余りにも情けないと思っているんです。

最後にもう一回、落款は作品の一部です。作品のオマケではありません。まずは場数を増やす事。そして意識する事からはじまると思います。私も勉強の途中で、まだまだ学ばなければならない事が沢山です。焦る事はありません、ゆっくり出来る事から始めましょう。私も頑張ります。

********************************************************************
レッスンや作品制作、作品レンタル等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

レッスンについては
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作などについて)
からでも受け付けております。

作品レンタルの詳細はこちらをご覧ください。

ホームページからでもお問い合わせを受け付けております。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************



スポンサーサイト



プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。作品制作においては、国内に限らず海外へも活躍の幅を広げ、多方面で活動中。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。
レッスンの詳細はホームページ
(https://www.miho-ismt.com)をご覧ください。
お問い合わせはホームページ、または本ブログのメールフォームからお願いします。

出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

作品制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

カレンダー

01 | 2019/02 | 03
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 - -

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード